2004年10月20日 |
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十一代目市川海老蔵襲名記念公演をシャイヨー宮へ観に行った。 歌舞伎を観るなんて実に十ン年ぶり。 若い頃にたくさん観たかったけれど、やりたいことが多すぎて手が回らなかったのが正直なところ。 今日観るチケットは49.20ユーロ(約6740円)。 日本で襲名公演はいくら払えば観られるものなんだろう? 文化が安い国の恩恵を授かる。 どうも最近感動のスイッチが入りやすくて、幕が上がる前にたびたび聞こえてくるすがすがしい柝の音だけでじわ〜っと涙が出そうになった。 まだ客電も落ちていないのに〜! じんわり出そうになるナミダをこらえていると、隣に座っていたマダムから「あなた日本人?この音は何?」と声をかけられる。 「スペクタクルが始まる前に木で出来た棒を打つんです」と説明する。 どうやらフランスでも舞台の前にそんなようなことをするらしい。 演目は「鳥辺山心中」「鏡獅子」、あいだに日本語とフランス語での挨拶と「にらみ」も披露してくれた。 「にらみ」でどなたか女性が「成田屋!」と叫んだ。 海老蔵の屋号が「成田屋」だということは知っていたけれど、叫ぶタイミングを掴めなかったワタシ・・・。 若い頃にもっと観ておくべきだった。 ともかくどなたかが叫んでくれて良かった。 ステージも衣装も素敵だったけれど、一番素敵だったのは、「間」だった。 鼓の「いよぉ〜っ」 ・・・・・・ ・・・ポンッ。 ・・・・・・ 「いよぉ〜っ」 ・・・・・・ ・・・ポンッ。 この間の静寂と緊張感がたまらなかった。 最後は鳴り止まない拍手とスタンディングオベーションに、海老蔵自ら幕を引いて手を振った。 おちゃめな獅子だった。 |